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人手不足や人材の多様化を背景に、外国人社員を採用する企業が増えています。しかし、受け入れにあたって既存の就業規則のままでよいのか、改定すべきなのかと悩む人事労務担当者も少なくありません。就業規則は国籍を問わずすべてに労働者に適用されるものであり、内容について周知する必要があります。こちらの記事では、記載すべき法的ルールや現場でのトラブルを防ぐ運用ポイントについてまとめました。
労働基準法の第三条では、労働者の国籍や信条、社会的な身分を理由に賃金や労働時間などの労働条件を差別することを禁止しています。そのため、外国人であることを理由に日本人より低い賃金を設定する、不利な条件で働かせるなどはできません。国籍問わず、公正な労働環境を整備する必要があります。
日本人向けの規定をそのまま適用すると、言葉の壁からルールが正しく伝わらない恐れがあります。遅刻や欠勤への捉え方、指示の受け止め方など、文化や労働習慣の違いによる認識のズレが思わぬトラブルにつながるケースも少なくありません。
また、時間の感覚や上下関係など、文化の違いもあります。日本の法制度、労働習慣について分かりやすく説明すること、就業規則についても外国人にも分かりやすく提示することが不可欠です。
就業規則の記載事項は、労働基準法によって大きく「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」に分けられます。
これとは別に、企業が自由に定めることができる「任意的記載事項」もあります。法的な義務はありませんが、目的や基本方針、服務規程、採用や異動の手続き、休職・復職の規定などを記載することで、社内へルールを周知し、労務トラブルを防ぐことができます。
外国人の就労可能な在留資格には、従事できる活動の範囲が法律で決まっています。技術・人文知識・国際業務など、専門的職種で許可を得ている場合は無計画な部署移動などで現場作業に従事させてしまうと資格外活動(不法就労)に該当する恐れがあります。
就業規則に在留資格の確認を義務づける、在留資格の範囲を超えた配置転換や職務変更を禁止することを盛り込むことで、リスクを回避することができます。
出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令では、外国人社員の賃金について「日本人が従事する場合と同等以上であること」が義務付けられています。国籍による賃金差別は違法となりますし、外国人社員が大卒であれば日本人大卒者と同等、専門職であれば日本人専門職と同等の業務・責任、報酬にすることが必須です。これは、手当てについても同様です。就業規則を作るときには、賃金決定の基準を学歴、経験、資格などの客観的に定めるようにしましょう。
会社に賃金規定がない場合や同じ職務の日本人がいない場合でも、その報酬額になるかを合理的に説明できるような整合性がなけらばいけません。
他社での副業が原因で外国人社員が不法就労となり、自社が巻き込まれてしまう恐れがあります。例えば、副業が在留資格の範囲外だったり、資格外活動の上限である週28時間を超えて働いていたりした場合、自社も処罰の対象となるリスクがあるのです。
これらのリスクを避けるため、副業を完全許可制にする、副業は在留資格の範囲内に限るなどを副業規則に盛り込むとよいでしょう。また、副業を許可した後も、在留期間や副業の実態を定期的に確認する規定を設けておくのが望ましいでしょう。
外国人社員は、宗教的行事や母国の旧正月、家族の冠婚葬祭などで長期帰国することがあります。その際の音信不通や無断離職といったトラブルを防ぐためにも、あらかじめ就業規則を整えておくことが大切です。
事前申請の手続きや取得可能日数、休暇中の待遇についても定めておく必要があります。日程調整をスムーズに進めるためにも、申請期限をあらかじめ設けておくとよいでしょう。また、法定外で一時帰国休暇を設ける場合は、有給・無給の扱いに加え、渡航費用の負担(会社負担か自己負担か)についても就業規則に明記しておくことが大切です。
無断で帰国期限を超えた時の退職や懲戒規定を定める際には、労働基準法や過去の判例に基づき当然退職と懲戒退職を明確に区別する、連絡方法のルールを指定しておく、猶予・弁明の機会を設けるようにしましょう。
就業規則を作成する際、外国時社員向けに翻訳する法的義務はありません。しかし、就業規則は従業員に周知する義務があるため、全文を翻訳しなくても重要な労働条件である時間や賃金、休み、罰則などについては多言語対応にして双方の理解を得ることは重要です。
外国人社員の文化的背景に配慮することも重要視です。礼拝や食事・ラマダンなどの宗教的習慣の対応についてルールをあいまいにするとトラブルになる可能性があります。規則や契約の中で整理し、現場の運用に沿った内容にしておくことが求められます。
翻訳版を作成する際、日本語版と翻訳版でニュアンスの違いから誤解が起こる場合もあります。そのため日本語を正本とすることは就業規則内にしっかり明記しておかなければいけません。日本語の就業規則を正本と定めておけば、万が一トラブルが生じた際にも日本語版の規定を優先できます。
就業規則の見直しは、モデル就業規則などを用いれば自社で簡易的に修正することもできます。しかし、自社の業種や在留資格の種別、現場の運用に合ったトラブルのない就業規則を作成するためには、専門家に依頼した方が確実です。
労務や外国人雇用の専門家に就業規則作成・チェックを依頼することで、法改正にも的確に対応でき、法令違反を防いでトラブルに強い就業規則を整えられます。

外国人社員を受け入れる際には、労働基準法による国籍差別の禁止や入管法に基づく在留資格に応じた職務変更の制限について就業規則に明記すること、副業制限や一時帰国のルールを盛り込むことなど対応が必要となります。また、日本人と同様に就業規則を周知しなければいけないため、多言語対応で認識のズレを防ぐことも大切です。トラブルを防ぐためには専門家の支援も重要となるため、外国人社員受け入れサポートへ相談してみることをおすすめします。
日本で働くことが決まった外国人社員を受け入れるときには、ビザの取得や在留資格などの手続きや賃貸契約といった生活サポートなどを企業側で手配する必要があります。
当メディアでは、これまで数多くの外国人社員受け入れのサポートの実績(※)を持つリロケーション・インターナショナル監修のもと、受け入れの基礎知識をまとめました。
はじめて外国人社員を受け入れる現場の担当者や人事の方に向けて、国ごとに注意点や配慮したいポイントについて解説しているので、ぜひチェックしてください。