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労働基準法第15条では、従業員を採用する際に労働条件を明示することが義務付けられています。具体的には、労働基準法施行規則に定められている賃金や労働時間などの14項目を明示し、そのうち6項目については書面で交付することが義務付けられています※。
この労働条件を示す書類が「労働条件通知書」と「雇用契約書」です。前者は企業から労働者への一方的な通知、後者は双方が合意した書面です。
入管への提出書類は、通知書でも要件を満たすケースがあります。しかし、後々のトラブルを避けるためには、双方の署名・押印がある契約書形式で作成しておく方が、より安心です。
なお、実務上は通知書と契約書の両方の機能を兼ねた書式を使用している企業も多く見られます。
※参照元: 厚生労働省公式サイト(https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyunhou_4.html)
2026年1月時点
日本語が十分に理解できない外国人社員の場合、休日の取り扱いや残業のルール、各種手当などについて認識のズレが生じやすくなります。その結果、「説明した」「聞いていない」などの行き違いからトラブルに発展するケースも少なくありません。
このような事態を防ぐためには、雇用契約書に母国語または英語を併記することが有効です。日本語と外国語を同一ページで対訳にしておけば、認識の差を大きく減らせます。また、専門用語や分かりにくい表現には注釈を付け、本人が確かに理解して署名した記録も残しておけば、万が一、紛争や裁判に発展した場合でも合意内容を明確に説明できます。
在留資格(就労ビザ)の審査では、職務内容・勤務場所・報酬額などが、申請する在留資格の活動範囲と合致していることが確認されます。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、具体的な活動内容を示す資料として労働条件通知書(雇用契約書)などの提出が求められています。業務内容の記載が曖昧すぎたり、実態と異なる内容であった場合は、追加資料の提出を求められたり、不許可につながる可能性があるので注意してください。
外国人を雇用する際は、業務内容と就業場所をできるだけ具体的に記載することが重要です。
就労系の在留資格は、許可された活動範囲内で働くことが前提なので、職務内容を広く書きすぎると、入管審査の際に整合性について詳しく確認される可能性がある点にも注意してください。たとえば「事務全般」「会社の定める業務」などの曖昧な表現だけでは、実際の業務が伝わりにくくなるので、経理や設計、通訳など、担当する職種と主な業務を具体的に列挙しておくようにしましょう。
勤務地についても、住所や事業所名を明記することが大切です。あわせて、転勤の有無や、勤務地が変更になる可能性がある場合は、その範囲(本社のみ、国内拠点全体など)を明示しておきましょう。
配置転換や転勤を実施する際は、その業務が在留資格の範囲内であることの再確認が大切です。また、労働条件に変更が生じた場合は、書面で契約内容を更新しておくようにしましょう。
雇用契約が有期契約か無期契約かを最初に明示しましょう。
有期契約の場合は、契約期間に加えて、更新の有無、更新を判断する基準、更新回数や年数の上限の有無を具体的に記載します。更新基準については、「業務量」「勤務成績」「能力」「経営状況」などの項目を設定します。自社の評価制度に沿って、あらかじめ文章化しておくようおすすめします。あわせて、契約満了により雇用が終了する可能性があること、更新しない場合の取り扱い(雇止めの考え方、理由の説明方法、書面交付の有無など)についても明記しておけば、後々のトラブルを避けやすくなります。
また、外国人社員の在留期限も確認しておくことも重要です。在留資格の更新が不許可になった場合は就労を継続できなくなるため、在留期間(3年、5年など)と雇用契約期間の整合性を取っておきましょう。
賃金については、基本給、各種手当(通勤手当、住宅手当、役職手当など)、賞与、昇給の条件を分けて明示しましょう。あわせて、給与の支払日や締日、支払方法(銀行振込の可否など)も明記します。残業代や深夜・休日割増の計算方法も記載が必要です。固定残業代を設定している場合は、その内訳を書面で整理して双方の認識のズレを防止しましょう。
当然ながら、賃金は最低賃金を下回ってはいけません。ただし、最低賃金の算定から除外される手当もあるので、その点には注意が必要です。また、国籍を理由に賃金などで差をつけることは認められていません。就労系在留資格の場合、日本人が同じ職務に就く際と同等以上の報酬が求められます。
給与からの控除については、所得税や社会保険料など法令で認められているもののみが対象となります。この点を明記し、給与明細で内訳を説明できるようにしておくと誤解が生じにくくなります。
なお、賃金は原則として通貨で本人に直接支払うルールとなっています。
労働時間については、所定労働時間、始業・終業時刻、休憩時間、所定時間外労働の有無をセットで明示します。変形労働時間制やシフト制を採用している場合は、その種類と基本的なルール(交替の単位、シフト確定の時期など)も記載しておくようにしましょう。
休日は、法定休日と所定休日を区別して示すことが大切です。曜日や日付で具体的に特定する運用が基本となります。
休暇については、年次有給休暇の付与要件や日数を記載します。慶弔休暇など任意の休暇制度がある場合は、その有無も明記しましょう。残業、深夜労働、休日労働の割増賃金の扱いもあわせて記載しておけば、採用後の説明の手間を減らすことができます。
なお、本人が希望すれば、労働条件の通知をメールなどで明示することも認められています。
内定を出した後に在留資格が不許可になるケースも想定されるため、雇用契約書や内定通知書には、「在留資格の許可を得たときに契約が効力を持つ」という停止条件を盛り込んでおくことが望ましいです。
出入国在留管理庁のQ&Aでも、就労資格の取得を条件とする停止条件付き雇用契約の方法が示されています。この条項を入れておけば、許可が得られなかった場合は雇用が開始しないという前提が明確になり、不当解雇と主張されるリスクを減らすことができます。
実務上は、入社日は在留資格の許可が下りてから正式に確定させます。
退職・解雇の条項では、自己都合退職の申し出時期、解雇事由、手続(弁明の機会、解雇予告など)を明示します。
なお、特定技能の在留資格では、帰国費用は本人負担が原則とされているものの、本人が負担できない場合は受入れ機関が負担し、円滑な出国に必要な措置を講じることが運用要領で示されています。そのため退職・解雇の条項では、帰国旅費についての運用(航空券、国内での移動費など)と精算方法も具体的に記載しておきましょう。
特定技能雇用契約が終了した場合は、その事由が発生した日から14日以内に入管への届出が必要です。
試用期間とは、採用後に本人の適性を確認するために設ける制度です。恣意的な制度運用にならないよう、期間の長さ(たとえば3か月)や評価する項目(勤務態度、技能、出勤状況など)、本採用に至らない場合の判断基準を条項へ具体的に盛り込んでおきましょう。
なお、試用期間中であっても労働契約は成立しています。企業側が無制限に解約できるわけではない点は、双方でしっかりと共有しておくことが大切です。
また、試用期間中に賃金や手当が本採用後と異なる場合は、その条件も明示しておきましょう。
多言語化は、認識のズレを減らすための重要な実務です。まずは日本語版を正式な文書としつつ、英語や中国語、ベトナム語などを同一書面に併記する形としましょう。
翻訳作業では、職種名、手当の名称、残業代の計算方法などで誤訳が生じやすい傾向があります。社内で対応が難しい場合は専門の翻訳サービスを利用し、最終的に人事担当者が用語の統一を確認することをおすすめします。
公的機関が提供している多言語の様式は、書類の骨格として参考になります。ただし、自社の就業規則に合わせた追記や修正が必要な点に注意してください。
重要な条項については、面談の場で本人と一緒に読み合わせを行い、質問を受けてから署名をもらいましょう。
日本語版と外国語版の間に齟齬が生じた場合は日本語版を優先する、という旨も条項で示しておくと良いでしょう。
海外には印鑑文化がない国も多く、外国人社員が印鑑を持っていないケースは珍しくありません。日本人としてはやや違和感を覚えますが、契約は当事者の意思が合致すれば成立するものであり、押印は一般的に必須要件ではありません。
実務上は、契約書に署名欄を設けて、パスポート表記のサインで受領する運用が現実的です。企業側は署名者名と日付を記録し、適切に保管しましょう。紙の書面だけではなく、電子署名を活用しても構いません。
雇用契約書の交付は、紙でも電子でも構いません。ただし、電子での交付は本人が希望した場合に限られ、かつ出力や保存ができる形式で提供することが前提です。
交付に際しては、交付した日付と本人の受領確認を記録として残しましょう。契約の更新や労働条件に変更が生じた際にも、改めて書面を提示します。
書類の管理については、版番号や改定履歴を付けて整理し、旧版も含めて保管しておくことをおすすめします。
厚生労働省は、外国人向けに「モデル労働条件通知書」を主要言語で公開しています。英語、中国語、ベトナム語など複数の言語が用意され、様式と記載要領をそのまま利用できます。
掲載ページからPDF形式で取得できるので、内容が更新されても差し替えは容易です。まずは公的な雛形を土台として、賃金や労働時間、休日、手当など自社のルールを追記しながら完成させるとよいでしょう。
作成した労働条件通知書は採用前に本人へ配布し、面談の場で一緒に読み合わせたうえで署名をもらうようにしましょう。
在留資格によっては、入管が想定する専用の書式が用意されています。たとえば特定技能の場合、「特定技能関係の申請・届出様式一覧」に省令様式や参考様式がまとめられ、雇用条件書などの標準書式もあります。必要な書式は、在留資格の種類と手続(在留資格の申請か所属機関の届出か)によって異なるので、適切な様式を選んでください。
指定様式がある場合は、それを優先して使用することが大切です。内容は随時更新される可能性もあるため、都度、入管のサイトで確認してください。
在留カードの表面で、在留資格、在留期間、就労制限の有無を確認しましょう。裏面には「資格外活動許可欄」や個別の許可内容が記載されているので、こちらも必ずチェックします。
許可書が別途ある場合は、その写しも保管しておきます。配属予定の業務内容と許可内容が一致しているかを照らし合わせることも重要です。
外国人を雇い入れた、または離職させた事業主は、「外国人雇用状況の届出」を行う必要があります。届出様式は雇用保険の加入有無によって異なります。
届出期限は、雇い入れの場合は翌月10日まで、離職の場合は翌日から10日以内です。提出先はハローワークとなります。
不法就労助長罪とは、就労できない外国人を雇用したり、あっせんしたりする行為を処罰する規定です。違反すると、懲役(拘禁刑)や罰金の対象となる可能性があるので注意してください。
チェックすべきポイントは以下の通りです。
次のようなケースでは、専門家への相談が現実的です。
これらのケースでは、書類作成や入管対応を外部に委託すれば社内の業務負担を抑えられます。
外国人との雇用契約書は合意の証拠であり在留審査の重要書類
外国人雇用における契約書は、「合意の証拠」として重要な役割を果たします。契約書には賃金、労働時間、手当、更新条件などを母国語や英語などでも併記し、面談で読み合わせして署名を取得してください。
また、在留資格の審査では職務内容や報酬などの整合性が確認されるので、契約内容は具体的に記載しておくことが大切です。厚生労働省の多言語様式を土台にし、自社のルールに合わせて追記していく運用をおすすめします。
在留カードの確認や雇用状況の届出などの手続も忘れずに行い、配属変更時には契約内容を見直して実態とのズレが生じないようにしましょう。手続の負担が大きい場合は、外部の支援サービスを活用する選択肢も有効です。
日本で働くことが決まった外国人社員を受け入れるときには、ビザの取得や在留資格などの手続きや賃貸契約といった生活サポートなどを企業側で手配する必要があります。
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